コラム

COLUMN

約90年前の都電荒川線の姿 鉄道省の記念品とともに みんなのお宝写真館(23)

1928年12月に撮影された、王子電気軌道(現在の都電荒川線)の大塚駅前停留所。

「自撮り」の言葉が意味する矜持

みんなのお宝写真館(22)に登場した、東京都板橋区の桧山英子さん(93)。
13歳のときに亡くした父は、東京帝大を出て鉄道省に入ったエリート官僚だった。
英子さんは、そんな父のアルバムを、形見として大切に保管してきた。

そのアルバムの中に、貴重な鉄道写真も見つかった。
1928(昭和3)年12月に撮影された、王子電気軌道(現在の都電荒川線〈東京さくらトラム〉)の大塚駅前停留所の写真だ。王子電気軌道が同停留所から早稲田方面(面影橋まで)の延伸開業を迎えた日に撮られた写真だという。

英子さんの父・今福又五郎(いまふく・またごろう)さんは、この時期、鉄道省から王子電気軌道の重役に転じていた。アルバムの台紙に書かれたメモによると、この延伸開業を見届けるため、同社の幹部が視察に訪れた際の一コマだと考えられる。

このほか、鉄道省時代の1921(大正10)年に省内テニス大会で優勝したときの写真も残されていた。その優勝時のトロフィーや、同年に「鉄道50周年」を迎えた際、関係者に配られた記念品(双頭レールを切断して作った文鎮)もあった。
関東大震災や東京大空襲を乗り越えた父の遺品は、今も英子さんが大切に保存している。

英子さんの長男で、又五郎さんの孫にあたる、文芸評論家の桧山幹人さん(56)は、遺品のアルバムをもとに、祖父の足跡や当時の文化・風俗などを調べてきた。

特に幹人さんが関心を持ったのが、祖父がアルバムに残したメモに「自撮り」という表現が出てくることだという。
「今はスマホで自分を撮ることを『自撮り』と言いますが、祖父は、自分のカメラで撮影したことを『自撮り』と記録していたようです。プロの写真屋さんに撮ってもらったものではなく、『撮影したのは私です』という、祖父の矜持(きょうじ)を感じ取れますよね」

現在の都電荒川線(東京さくらトラム)の大塚駅前停留所。山手線の高架下にある造りは変わっていない=2019年8月撮影

 

鉄道省内庭球大会の一コマ。又五郎さんの所属する「運輸局チーム」が優勝したようだ=1921年撮影

 

この省内庭球大会の優勝トロフィーは、英子さんが大切に保管してきた。

 

又五郎さんの遺品の中にあった、「鉄道50周年」記念の文鎮。双頭レールが切られたものだ。

 

又五郎さんの孫で、文芸評論家の桧山幹人さん

 

(この1928年の大塚駅前停留所の写真は、2019年9月15日付朝日新聞朝刊(東京版)に、「懐かしの鉄道写真展」の案内記事とともに掲載されました)

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