コラム

COLUMN

2020/01/09

写真がもたらす自己肯定感 親野智可等先生に聞く「ほめ写」プロジェクト(2)家族みんなのために

「ほめ写」実践の留意点

新たに当コラム欄で始まった、一般社団法人写真整理協会理事・浅川純子さんによる対談シリーズ!

ゲストに教育評論家の親野智可等(おやの・ちから)先生を迎え、全3回のコラムでお届けする企画の第2回目は、「家族みんなのための『ほめ写』」がテーマ。
「ほめ写」は子どものためだけではないんです。「ほめ写」の留意点の話から、お二人の話がテンポよく続きます。

 

親野) 「ほめ写」を実施するときに、気をつけて欲しいことがいくつかあります。兄弟姉妹がいる場合、一番上の子は写真が多いなど、きょうだい構成によって撮った枚数にバラつきがあります。子どもは写真の枚数が少ないと寂しいと思うので、貼る枚数は揃えた方がよいです。学校でキャンプなどイベントの写真を撮って貼り出したり、卒業アルバムにするときなども、偏りが出ないように意識しています。

また、貼る高さは子どもの目線かそれより下にして、子どもが見やすくしてほしいのです。子どもは認知能力が低いので、プリントアウトするときはL判以上の大きさが適しています。できたら「これは」と思うものはA4くらいに引き伸ばしておくと、見やすく目を引きます。いつも講演で、この話を必ずしています。

浅川) それが「ほめ写」の留意点ですね。

親野) はい。貼る側の大人が留意するようにしてください。

ママ自身のためになる「ほめ写」

親野) ところで、若い時にお付き合いしていたころの写真や、新婚当初の写真などを見るのは、ご夫婦にもよいことですよ。さらには、お父さんとお母さんが仲良くやっていれば、子どもが「自分も将来結婚して家庭を持ちたい」と思うようになるでしょうし。

セミナーで実際に「ほめ写」を実施した母親たちが、子育てしてきた写真を子どもに見せると、自分にもよい効果があるといいます。「この子が赤ちゃんのころ夜泣きして大変だったけど、私もがんばってきたじゃないか」と、親も自己肯定感が高まるんです。すると、子どもを感情的に叱りそうになったときに、ブレーキがかかります。だから親も一緒に写っている写真を何枚か貼るとよいですよ。

浅川) 一人一人にそういう宝物があって、そしてそれが記録として現存しているわけですね。それを活かさない手はないですね。

撮影:Joyful Works

 

自分のルーツ、家族の歴史

浅川) 現代人は毎日を慌ただしく過ごしていて、「家族」という一番肝心な人が、最もないがしろにされてしまいがちです。私は写真整理という仕事をしながら、家族の関係性をよりよくできる可能性を感じています。写真を見やすい状態にして、もっと見たり見せてあげたりする機会を増やしたいと思っているのです。一緒に写真を見ながらおしゃべりをしたり…。

親野) 写真を使うことで、家族のコミュニケーションを深めていくことができますね。昔はアルバムがその役割を果たしており、帰省するお正月やお盆に、みんなで寄ってたかって写真を囲んで見ていましたよ。

浅川) 当時はフィルム写真だったから、現像してプリントするまで見られませんでした。何が写っているか楽しみに待って、写真が戻って来たら全員で回しながら見ましたね。

親野) で、あのときこうだったとかおしゃべりしました。そういう機会が減ってるんですね。ふとした話の中で愛情を実感するような時間もね。

浅川) 写真を見ながら自分のルーツを自然にたどっていました。この親の親、親の親の親、と。今の家族だけでなく、その先に自分の祖先からつながる血のつながりや絆みたいなものを知るきっかけになって。

今、情報も過多で、子どもたちは目の前に置かれる状況に対応しながら、瞬間瞬間を生きているように思えます。だけど振り返ったり、立ち戻ったりするという自分の核になるようなものが育つ時間や機会が、もっと必要なんじゃないでしょうか。何か辛いことがあっても、そこに戻ってこれるじゃないですか、お家に帰るように。

親野) 私のうちの仏壇に、おやじのおじいちゃんの写真立てがあるんですよ。そこに和服で写ってるんだけど、頬骨の作りが僕と似てるんだよね。あぁこの人の血を引いているのかとか思って。面白いじゃないですか。

浅川) あはは、顔の造作もそうですね。

教育評論家・親野智可等さん(左)

 

親野) 子どもも自分の写真はまだ見るけど、お父さんとお母さんが結婚した時の写真を、見たことないじゃない。親もこんなにお祝いされて自分が生まれたんだって思いますよね。

下宿していた学生時代に友達から、「僕が赤ちゃんだったとき、母さん僕のために毎日カルシウムをいっぱい摂ってたんだって」って、何回も聞かされました。嬉しいんだよね、彼はそれが。自分の歴史だし、生まれる前の歴史もあるわけだから。それはやっぱり自分の存在感とか自己肯定感につながると思いますね。

浅川) 今はそうやって、過去のことを思い出す機会が少ないです。ネットと常につながっているから検索すればすぐ情報を取り出せるし、写真も残していれば、たどれば見られると思っている。実際は溜まり過ぎていて探せないのですけれど。記憶しよう、覚えておこうという意識も減っている気がします。親野先生がおっしゃった何度も見る行為、自分に落とし込む行為、それは今できている人がとても少ないです。「ほめ写」の意味を、とても強く感じます。

元気が出る写真は本人が選ぶ

親野) 余談ですが、現役時代の長嶋茂雄さんの、有名な「空振り三振」の写真というのがあって、それが大好きなんです。思いっきり投げて、思いっきり振って、スポーツってこういうものだよね、と感動するんです。元気がない時にこの写真見ると、なんだか励まされるんです。

子どもにもやっぱり元気が出る写真があるんです。「ほめ写」セミナーで実践した方の話を聞くと、子どもの好きな写真が親の選んだものとは違うことが結構あるそうです。時間がたって親が片付けようとすると、子どもが「これぜったい残して」とせがんだり。子どもの思いを大切にして、親子で選ぶのがよいと思います。

浅川) そうかもしれません。最近気になっているのが、自動化やAIがどんどん進んでいて、デジタルの進化が人間の脳に変わる役割が出てきていることです。写真もだんだん進化していて、Googleが自動で写真を登場人物別に選んでくれたり、フォトブックのサービスでも、AIがいろいろなことを学習しながら、採用する写真を人の代わりに選別してくれます。すごくありがたいな、便利だなという面がある一方で、それだけで人の幸せは確保されるんだろうか、という思いも自然に浮かびます。

一般社団法人写真整理協会理事・浅川純子さん

親野) 埋もれてしまうものも、ありそうですね。

浅川) どう付き合っていくかだと思います。親野先生がおっしゃっていた「子どもが自分で選んだ写真が親の選んだものと違う」というエピソードが、AIと人間にも当てはまります。AIが作ってくれるフォトブックは、時間のない現代人にとって簡単にできてとても便利です。「あの写真がない」とか、「これは私だったら入れなかったな」という人の感覚や感情なども、引き続き組み合わせる必要があるだろうと思います。

「ニッポン写真遺産」のオプションサービスである「写真整理お手伝いプラン」は、できるだけお客様本人に写真を選んでいただいています。また、選ぶ写真をうまく引き出すための聞き取りを丁寧にしています。そういう人の役割は、大切にしたいと思っています。

 

親野智可等先生との対談コラムの第2回はここまで。
次はいよいよ最終回。
「ほめ写」プロジェクトのきっかけから、今後の可能性まで、お二人が熱心に語り合います。
ぜひお楽しみに!

→親野智可等先生に聞く「ほめ写」プロジェクト(3)「地域や社会のために」はこちら
←親野智可等先生に聞く「ほめ写」プロジェクト(1)「子どものほめ方のコツとは」はこちら

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