コラム

COLUMN

2020/01/10

写真がもたらす自己肯定感 親野智可等先生に聞く「ほめ写」プロジェクト(3)地域や社会のために

「ほめ写」プロジェクト誕生のきっかけ

新たに当コラム欄で始まった、一般社団法人写真整理協会理事・浅川純子さんによる対談シリーズ!

ゲストに教育評論家の親野智可等(おやの・ちから)先生を迎え、全3回のコラムでお届けする企画の最終回は、「ほめ写」プロジェクトのきっかけから、今後の可能性について。
写真が次世代のため、社会のため、地域のためにできることは何か、お二人の議論が深まっていきます。

 

浅川) ところで、そもそも「ほめ写」プロジェクトが誕生したきっかけについて教えて下さいますか?

親野) 私は23年間小学校の教員を務め、46歳でやめて14年たちます。その後は現在まで教育評論家として活動しています。「ほめ写」が誕生することになった最初のきっかけは、東洋経済オンラインのコラム記事なんです。

ある日、写真の活用を書いたコラムがきっかけで、富士フイルムさんがスポンサーになり、「ほめ写」プロジェクトの形になりました。今の時代は、大事なことだと感じた人が「動く」ことが必要です。
「ほめ写」はネーミングもいいし、写真を飾るという手法もシンプルでわかりやすいですからね。言葉を知っている人が多いし、さらに増えてきています。

写真整理は大人の「ほめ写」

浅川) 2019年の年初に、親野先生と一緒に「フォトイメージングセミナー」(日本フォトイメージング協会主催)に講師として登壇しました。そのとき親野先生が「浅川さんのやっていることは、大人の『ほめ写』そのものの活動だね」とおっしゃってくださいましたが、それがとても嬉しかったのを覚えています。親野先生の話を聞いたときに、活動が生まれた経緯や核となる思いなど、共通点が多いと感じました。

親野) そのセミナーで、シニアの方たちが写真を見ることで生き生きされたと聞いて、私にも大変勉強になりました。あぁ、大人もそうなんだと。認知能力が高くなり、認知症の予防にもなるでしょう。

浅川) 写真の可能性は無限大だなといつも思います。朝日新聞社が「ニッポン写真遺産」という事業を始め、写真がデジタル化でよみがえることが新聞の紙面で多くの方の目に触れるようになりました。これには大きな意味があると思います。

写真はいつか整理しなければと思いながらも置いておかれています。どうしたらよいか迷った挙げ句、写真を見ずに捨ててしまう人もいらっしゃいます。でも、「取っておいて欲しかった」とおっしゃるお子さんがとても多いんです。行った場所、やったこと、出会った人など、自分の人生の記録に出会わないまま処分してしまわれるのは、なんとも残念です。

日本フォトイメージング協会主催「フォトイメージングセミナー」で講演する浅川さん=2019年1月、東京都内

「伝記」の大切さ

親野) よく私は親御さんに、子どもに「伝記」を与えましょうって言うんです。伝記を読むことで一つのモデルケースを知ることができ、人生について考えられるようになるんです。親のストーリーも同様です。自分の子どものころ失敗したことや成功したこと、思春期の恋愛のことなども含めて、自分の子どもに親自身の物語を話してあげるとよいです。親の人生についてきちんと聞くことで、一つのモデルがインプットされます。特に身近な人だと、すごく参考になるんです。

今の大人の方たちも含めて、話を聞くことはその人の伝記を読んでいるようなものです。このところテレビ番組でも、ドキュメントが流行っています。例えば山奥の一軒の家を訪ねる番組が大人気ですが、そこに住んでいる人の物語を通して、こういう人生があるんだなと知ることに興味があるんです。不確定な時代だから、みんな手探りで暮らしながら、どうやって生きていけばよいかわからないんです。いろいろな人の様々なストーリーを聞くことで、自分の生き方を考えようとしているわけです。過去の写真を見ながらその方の人生の話を聞くことは、その方の認知能力のアップにもつながりますが、聞いている人にもとても勉強になるんですよね。

浅川) 子どもたちにも、親世代にも、どの年代の人にとっても参考になりそうですね。

親野) 私の祖母の弟が、もう亡くなりましたが、時々会う機会があっていろいろ興味深い話を聞きました。静岡県の三島に駐屯していた元日本兵で、3隻の船で移動する途中で2隻が沈められ、その後フィリピンの宿舎で爆撃されて2棟焼け、運よく自分は生き残ったといっていました。すごい人生だし、平和ってありがたいなと心から思いますよね。

教育評論家・親野智可等さん(左)

 

社会、地域をつなぐ

親野) 傾聴ボランティアなど聞く能力を高めた人が、デイサービスやデイケアなどでシニアの方の話を聞くと、みなさん本当に楽しそうにしゃべるんですよね。それを記録して、冊子にしているそうですが、そこに写真が加わればさらに強力な記憶のフックになりますね。全国の施設で大々的に、一大プロジェクトにするとよさそうですね。
デイケアでは、体のケアはやっているけれど、メンタル的なものは少なそうです。それこそ写真の出番ですね。

浅川) 本当にそうだと思います。施設のスタッフさんは、学校の先生と同じで、時間がなくてできないんです。だから私たちみたいな人が訪問してその時間を確保して、安心な状態できちんとお話をお聞きしたいです。日本全体でやったら、日本がちょっといい国になる気がします。
何に価値をおくのか、生きる意味がわかりにくくなってしまっています。写真を見る行為は、自分や家族のことを考えるとてもよいきっかけになります。

親野) スポンサーさんを探してバックアップしてもらったらいいんじゃないの?

浅川) 朝日新聞さんに協力してもらいます(笑)

親野) そういう活動が広がれば、みんな生き生きして病気になる人が減って、健康保険料も減るでしょうね(笑)

浅川) 本当ですね。地域でもつながりが薄くなっています。個人情報が守られる一方、お互いに連絡を取りにくい時代です。生活の小さな困りごとも遠慮して頼みづらくなっているし、一人暮らしの人もいっぱいいて、さみしさや孤独感の原因になっています。もっと気楽につながりたいと思っている人も多いはずです。そんな時写真があれば、話題にこと欠かないです。「あなたこういう人だったのね」ってわかりますもんね。

親野) 誰でもそれなりの過ぎた人生があるからね。みんなの写真を公民館に貼っておくと、話題になるし面白そうです。地域のつながりを作るのは、防災の観点からもよいことです。地域を孤立させず、家族、親戚の結びつきを復活させるきっかけとして、写真を有効活用できそうですね。

浅川) 最後に、今後の「ほめ写」活動について教えていただけますか?

親野) いま、不定期ですがセミナーを開き、「ほめ写アンバサダー」を認定しています。その人たちが自分の回りの人に「ほめ写」を紹介してくれています。私も「ほめ写」という言葉が広まるように、ときどき資料を作ってプレスリリースしています。ネットや雑誌からも取材を受けることが多く、その都度情報を提供しています。「ほめ写」には私を含めて3人の監修者がいます。あとのお2人は、東京学芸大学総合教育科学系教授で臨床発達心理士の岩立京子先生と、公立諏訪東京理科大学教授で応用健康科学・脳科学が専門の篠原菊紀先生です。岩立先生は学芸大学付属幼稚園で「ほめ写」の効果を検証している最中です。

浅川) そうですか、それは楽しみですね。親野先生、本日は大変貴重なお話をどうもありがとうございました。

 

いかがでしたか、教育評論家・親野智可等先生をゲストにお迎えした、写真整理協会・浅川純子理事との対談コラム。
当サイトでは、今後も、浅川理事による対談を随時、コラム欄にアップして参ります。どうぞお楽しみに!

←親野智可等先生に聞く「ほめ写」プロジェクト(1)「子どものほめ方のコツとは」はこちら
←親野智可等先生に聞く「ほめ写」プロジェクト(2)「家族みんなのために」はこちら

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