コラム

COLUMN

2020/09/30

写真家・浅田政志さんの人生を変えた「家族写真」とは(3)~一生に一枚しか撮れないなら~

「大食い選手権」 写真集「浅田家」より/🄫浅田政志

 

「どう撮るか」より「どう残すか」

一般社団法人写真整理協会代表理事・浅川純子さんによる対談シリーズ!

映画「浅田家!」(10月2日公開)で、二宮和也さんが演じる主人公のモデルとなった、写真家・浅田政志さんを迎え、全5回のコラムでお届けする企画。
第3回は、写真家・浅田政志さんの考える「写真家としての使命」や、家族写真を撮るようになった理由について、詳しく伺っていきます。

 

浅田)そんなに多くもないかもしれませんけど、東日本大震災のように何かあった時に、写真の本来持っている力が一番発揮される時なんだろうなと思いましたし、その目的を果たすためにはどうしたらいいんだろうと、考えがどんどん変わっていったんですよね。

浅川)はい。どのようにでしょう。

浅田)東日本大震災の写真洗浄の現場で、いろいろとお手伝いさせてもらいながら感じたことで、今まで自分になかった感覚が生まれました。家族写真、家族写真って言ってはいたけれど、こういう時にほんとに力が現れるんだなと。みなさんが持っている家族写真そのものが、すごく1枚1枚価値があるものなんだなと。本当にいろいろなことを感じたので、今は「どう撮るか」ってことよりも、「どう残すか」ってことに興味が移っています。

みなさん撮るのが上手なんですよ。こうしたらかわいく写るかなとか、こうしたらきれいに撮れるかなとか、こういう色だったら雰囲気出るかなとか、デジタルの時代になって、今までにないぐらいの量を撮れるようになっているので、技術もアップしてきていますよね。しかも、シェアしたりとか、地球の反対側にいる人にメッセージを送ったりとか。そういった新しい力のところにみなさん長けてますけど。

浅川)そうですね。

浅田)でも、一番根本的な、何十年前のある日のことを思い出したり、昔の当たり前のような日常の記憶を取り戻したり、その当時の気持ちを感じたりとか、まあ簡単にいえば、昔の思い出、昔の出来事を振り返るために、写真の持つ力を最大限発揮しようとするならば、「どうやって残すのか」「どうやって保管するのか」というところが、こだわるべきところなのだろうと。

浅川)本当ですね、私もそう思います。

写真家としての役割

浅田)けれど、だれも興味を示していない。それでも、そこを写真家としては、やっぱりもっと広めていけるように、がんばっていきたいなと思っていますね。

浅川)だからご自身の作品づくりだけじゃなくて、周りの人の面倒も見ようとなさっているんですね。

浅田)はい。それを、作品づくりを通してやりたいんです。

浅川)そういうことですよね。浅田さんにはその力があるし、その役割はものすごく大きいと思いますね。私のお客様の中に、写真を整理して改めて見てみたら、「初めて自分の人生がよいものだと思えた」という方がいらっしゃいました。たぶん、整理の時間の中で、人生を振り返り、いろいろな歩みを思い出してそう思われるのだと思います。

浅田さんが写真集「浅田家」の中で表現されている家族写真には、非現実的に面白く撮られている写真もありますが、どこか懐かしさがあって、親しみやすい雰囲気が全体に漂っています。ご自宅の中の写真もありますよね。いま「インスタ映え」を目指してきれいな写真が撮られるようになっていますが、ほんとに懐かしいのは、もしかして当たり前の光景かもしれないですよね。浅田さんの作品を通して、いろいろな方がそこに気づくのではないかと思います。

 

映画「浅田家!」より/🄫2020「浅田家!」製作委員会

一生に一枚しか写真が撮れないなら

浅田)ぜひ、そうであるといいと思っています。
そして、僕が家族写真を撮るようになったのは、「もし今からの一生で一枚しか写真が撮れなかったら、何が撮りたいか」って考えた結果、「家族写真」という答えになったということなんですよね。今、たくさん写真が撮れますけど、それはいったん置いて、今からの人生で一枚しか写真が撮れないなら、何を撮りたいのかなって自分に問いかけてみると、みなさんが一番撮りたい写真の姿が自ずと浮かんでくると思うんですよね。

その時に、あまり関係ないものを撮る人は少ないと思うんですよ。野良猫の写真撮りたいなとか。いてもいいと思うんですけど、僕はそんな答えにはならないです。「自分の家族」という人も多いでしょうし、「自分の好きな人」かもしれませんし、「一番仲のいい仲間」かもしれませんし、そこに「自分も入りたいな」と思う人もいるでしょうし。まあ、「好きな風景」でその人のことを思い出せるかもしれませんけど、とにかく今まで自分が経験してきたことの中で、密接に関わった何かを撮りたいと思うはずなんですよね。

浅川)そうですね、ほんとですね。

浅田)じゃあ、「それ撮ってますか?」って聞いたら、「そう言われれば撮ってないです」という人も意外と多いんです。ほかの写真はいっぱい撮ってるわけで、もう、訳が分からなくなってるんですよね。

浅川)ほんとにそうです。スマホがメーンのカメラになって久しく、私も家族写真がたまに写っているものの、このところメモ書きとか、仕事上の記録みたいなものが増えています。アルバムの時代は、写真は懐かしい思い出と言い切れましたが、今のスマホの中は、思い出とは言えない写真で溢れています。

ただ、写真整理協会の研修の中で、「あなたにとって写真とは何ですか?」と参加者に問いかけると、100パーセント「思い出」とか「家族の記録」とおっしゃるんですよ。写真へのイメージとやっていることの乖離が激しく、そこはすごく残念です。浅田さんもおっしゃっていたように、誰かが何とかしないといけない気がします。

 

写真整理協会代表理事・浅川純子さん

いかがでしたか、写真家・浅田政志さんに写真整理協会代表理事の浅川純子さんがインタビューしたコラムの3回目。
次回は、写真家・浅田政志さんの人生を変えた「家族写真」とは(4)~瀬戸際に立つ「アルバム」の文化~と題し、デジタルで気軽に撮れるようになった代わりに、大きく変質しつつある写真の文化について、浅田さんと浅川さんの議論が深まっていきます。お楽しみに!

なお、映画「浅田家!」は、2020年10月2日から公開されます。
この映画公開を記念して、ニッポン写真遺産では、2020年10月末まで「映画『浅田家!』公開記念キャンペーン」を実施しています。

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