コラム

COLUMN

2020/09/30

写真家・浅田政志さんの人生を変えた「家族写真」とは(5)~「自分ごと」に置き換えて~

「F1」 写真集「浅田家」より/🄫浅田政志

 

たまに見返して「お気に入り」を

一般社団法人写真整理協会代表理事・浅川純子さんによる対談シリーズ!

映画「浅田家!」(10月2日公開)で、二宮和也さんが演じる主人公のモデルとなった、写真家・浅田政志さんを迎え、全5回のコラムでお届けする企画。最終回となる第5回は、理想的な写真整理のあり方や、この映画に込めた思いまで、浅川代表が浅田さんの話を引き出していきます。

 

浅田)今、デジタル写真はいっぱい撮れますから、その力もどんどん分散していって、一枚一枚の価値もどんどん下がっているように感じます。

浅川)はい、残念なことに…。写真が身近になりすぎて、価値として感じにくいようです。そこの部分をどう世の中に訴え広めていけばいいのか。震災のような大きな出来事でなく日常の中であっても、何かが起きたときに必ず後悔します。今も写真店で何が起きてるかというと、SDカードを十何年ぶりにカメラ屋さんに持ってきたお客様がいて…。

浅田)映らないでしょ?

浅川)そう、映らないんです。カメラ屋さんでは、「機械に入れたら壊れた」とクレームになるそうです。また、別の方は修復サービスに出されたSDカードが結局損傷が激しく写真は戻らなかった。その中に入っていたのは自分の子どもの0歳から3歳までの写真で、その方は泣き崩れられたそうです。でももう戻らないんですよ。もちろん、対応を正しくすれば残ります。いま、「ニッポン写真遺産」のデジタル化サービスで私たちがお手伝いしている一つが、整理後のフォトブック制作です。そういう専門家からの提案の部分で、お客様に気付いてもらうんです。デジタルが得意な人ならば、バックアップを取りつつデジタルのまま残すのもよいのです。

浅田)デジタルデータは、常にバックアップしなきゃいけないし、簡単になったようで実は難しいですよね。そもそも、クラウドに上げていても、例えばそのクラウドの運営会社がサービスをやめたり、テロに遭ったりしたらとか。どこを信用していいのかという話じゃないですか。

浅川)そうですね。

浅田)僕としては「溜めこむとよくない」と思い、いろいろ撮っていく中で、たまに写真を見返しながら、「お気に入り」を付けますね。そして、好きな写真を一個のフォルダに保管して貯めていきます。その何百枚の写真を、年に一回写真屋さんでプリントするんですけど、その中から今年のベスト10をプリントすることが多いです。

人によっては数十枚でもよいし、多くなくていいんですよ。日ごろから、たまに電車の中でスマホで見返した時に、お気に入りを付ける作業は、そんなに苦痛じゃないと思うんですよね。

 

写真家・浅田政志さん

デジタル化の「その先」へ

浅川)はい。私も同じことを写真整理アドバイザーやお客様に勧めています。

浅田)ですよね。そうやって分けておいた写真をプリントして、最悪でも写真を大事なかんかん箱に入れておくか、余裕がある人はアルバムにしたりとか、額に入れて飾ったりとかやっていかなければならないと思います。やっぱり5年とか10年経つと、さっき言ったSDカード、ハードディスク、メモリーカード、そういうものの寿命も来てるはずです。データは永久に保存できると思いがちなんですけれど本当は弱いですし。

浅川)そうですね。

浅田)いつ飛ぶかもわからないですし、携帯もトイレに落として全部データがなくなることもあるかもしれません。とにかく、そういう日ごろの癖をつけておかないと、多分難しいかなと思いますね。

浅川)ほんとにおっしゃる通りです。私たち写真整理協会では、古い写真をコンパクトにデータ化すること、見やすく引き継ぎやすい形にすること、もう一つは日々生まれるスマホ写真をプリントしたりフォトブックにしたりしておくこと。それらを一生懸命伝えています。

引き継ぎという点でいうと、紙だけだと量が多過ぎて大変なため、デジタル化するのがよい解決策の一つです。その意味でも、朝日新聞社が運営しているアルバム・古写真デジタル化サービス「ニッポン写真遺産」は、私たちにとってもありがたい存在です。新聞の紙面やwebで読まれた方に気づいていただけますので。

ただ、その一方で、「デジタル化して終わり」になってしまってもいけないんです。デジタル化して、物理的な量を減らすこととか、整理すること自体を目的とするのではなく、その人が「見たい写真をいつでも見られる状態にする」ことを私たちは目指しています。まさしく写真整理アドバイザー認定研修のテキストに載せている部分です。そういうことを私は仕事として、とても熱い想いでやっています。なので、なんだかもう浅田さんを写真整理アドバイザーに任命したいくらいです。

浅田)はは、気持ちはもう写真整理アドバイザーです(笑)。

浅川)はい。日頃考えていることを言葉にしていただき、うれしいです。写真家の視点が入っているので、お聞きしていてすごく面白いです。

 

映画「浅田家!」より/🄫2020「浅田家!」製作委員会

「自分ごと」に置き換えるきっかけに

浅川)映画のこともお聞きしたいです。映画化にあたって特にこだわった点や、この映画への思い入れについて聞かせてください。

浅田)はい、この映画は、僕の家族のことが描かれてはいるんですけど、写真集「浅田家」の撮影の時もそうですし、僕の写真展に人が集まった時もそうでしたが、「浅田さん家って面白いですね~」というところから入りながら、最後やっぱり、みなさん家族の話をされるんですね。

「うちの家族だったら、こういう家族写真撮れないなぁ」とか、「子どもが大きくなったので、今、反抗期で撮れないかもしれません」とか。みなさん自分の家族のことに置き換えてしゃべってくれるんですよね。

浅川)はい。目に浮かびます。

浅田)「浅田家!」で他人の家族を観ながら、自分の家族を見ているっていう構図になるんです。そういう感想を聞いていくと、自分の家族写真を発表する意味合いもわかってきて、自分の家族どうこうじゃなくて、見てもらった人のものとして捉えてもらっているかっていうところで、僕の作品って価値があるんだと思うんですよね。

映画には浅田家とか僕とか描かれていますけど、見た人の自分のご家族のことも、また違った視点から考えたりするきっかけになると僕は一番うれしいなっていうのが一つです。

浅川)私、観させていただいて、まさにそういう思いを持ちました。これを観たら全員「自分ごと」に落とし込んで帰るだろうなって。

浅田)それはよかったです。映画は、僕の写真集が原案になって形になったんですけど、その中に写真を中心とした話も描かれています。写真というのは、みなさんにとって家族と同じくらい身近な存在だと思うんです。身近な家族写真、何気なくいつも撮っている写真、自分のスマホの中にある写真、そういうものについて、何か考えてもらうきっかけになってもらうといいな。二つとも、映画のメインテーマなんですけど。

浅川)そうですね。「浅田家!」という家族写真の映画を通して、「家族」と「写真」に観た人が思いを馳せる。とてもわかりやすくて、そしてとても大切なテーマですよね。

これからの浅田さん

浅田)他人(ひと)のご家族を撮る「みんな家族」っていう作品を撮りはじめたことで、いろいろな人に出会って撮る面白い企画が生まれています。なんだかんだありながら、ようやく僕も41歳になったんですけど、今年は自分の子どもの写真だったり、自分の父親の遺影写真だったり、そういうものをテーマに取り上げる写真集をもう少しで発表するんです。家族写真の中にも「赤ちゃん」の写真があったり、「家」の写真が入ってきたり、そういう家族写真にまつわるいろいろなジャンルに、チャレンジしている最中です。

撮りはじめてから20年近く経ちます。最初はこうなるとまったく思っていなかったですけど、どんどん家族写真の魅力の深みにはまっていく、そんな感じですね。

浅川)浅田さんの今後のご活躍に、大いに期待しています!今日はすごく楽しかったです。ありがとうございました。

浅田)はい、どうもありがとうございました。

 

写真家・浅田政志さん(左)と、写真整理協会代表理事・浅川純子さん

いかがでしたか、写真家・浅田政志さんを迎えた、写真整理協会代表理事・浅川純子さんによる対談コラム。
全5回にわたってお読みいただき、どうもありがとうございました。

映画「浅田家!」は、2020年10月2日から公開されます。
この映画公開を記念して、ニッポン写真遺産では、2020年10月末まで「映画『浅田家!』公開記念キャンペーン」を実施しています。

資料請求でプレゼントがもらえるこのキャンペーン、詳しくはキャンペーン案内ページをご覧ください!

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